エルメスの魅力は、世界最高級の天然皮革を厳選し、その中でも最も優れた部分のみを使用していることにあります。
彼らは美しいだけでなく、耐久性にも優れた素材を惜しみなく採用しています。
そのため、エルメスのバッグは高品質で長持ちし、他にはない特別な価値を持つと言えるでしょう。
エルメスバッグの最高峰、ケリーバッグ
エルメスのケリーバッグは、1956年にモナコ王妃グレース・ケリーが愛用したことで世界的に有名になりました。
このバッグの原型は、1935年に「サック・ア・クロア」として登場していましたが、元々は乗馬用の鞍や小物を運ぶラゲッジをベースにしていました。
後に旅行用にバッグに進化し、現在のケリーバッグの形状に近づいていきました。
ケリーバッグは、1956年以前から28センチ、32センチ、35センチの3つのサイズ展開がありましたが、1968年には20センチのミニケリーが追加されました。
更に1980年には40センチの大型モデルも新たに作られ、現在は通常モデルとして4つのサイズから選ぶことができます。
エルメスのケリーバッグは、素材にこだわり最高級の天然皮革を使用しています。
特に、エルメス独自の「サドルステッチ」と呼ばれる針を使って左右から縫い上げられる縫製技術は、美しさと耐久性の両方に優れていると高く評価されています。
内縫いモデルと外縫いモデルの2つのタイプがあり、外縫いモデルはシャープで強い印象を与え、内縫いモデルはエレガントでフォーマルな雰囲気を持っています。
ケリーバッグの持ち手は6枚の革を加工して作られており、頑丈で耐久性に優れています。
帯付きベルトには防犯とデザインを兼ね備えたカデナ(鍵)が付けられており、旅行カバンの名残もあります。
また、鍵カバーのクロシェもエルメスの上品さを引き立てるアクセントとして重要な存在です。
エルメスのケリーバッグは、単なるパーティーバッグではなく、非常に頑丈で実用的なバッグとして作られています。
その洗練されたデザインと高い耐久性により、多くのファッショニスタから愛されている名品です。
エルメスの革素材は追従を許さない
エルメスは、世界中から最高品質の素材を厳選し、自社のアトリエで熟練した職人が手作りでバッグを製作しています。
この製法と信念は長い伝統に裏打ちされており、エルメスは妥協せず、真にエルメスらしい製品だけを世に送り出します。
見た目だけでなく、見えない部分にまで手作りの真髄が込められていると言われています。
エルメスは素材を保管する専用の倉庫を持ち、一年を通して気温と湿度を管理しています。
フランスの一流タンナーであるデュプイ社やアノネイ社などから、伝統的な製法で丁寧に鞣された最高品質の革素材を厳選し、エルメスに納品しています。
例えば、エルメスで使用されるカーフ素材は、生後6か月程度の子牛の革で、繊細で銀面が滑らかな特徴を持っています。
エルメスではこの素材の中でも最も丈夫で安定している背中部分を厳選し、一切の傷やムラのない一枚を選び出してバッグに使用します。
このように貴重な素材を無駄なく使うことが、最高品質のバッグ作りに繋がります。
エルメスのバッグは分業制ではなく、一人の職人が製作を最初から最後まで担当することが特徴です。
例えば、代表作のケリーバッグを一つ製作するのに約20時間以上の時間と労力がかかると言われています。
素材の吟味と熟練した職人の手作りによって、エルメスのバッグはまさに芸術品とも言える存在となっています。
どんな素材が使われるのか?
エルメスは著名なタンナーと数々の取引を行い、特にデュプイ社やアノネイ社などの繊細なカーフ素材に優れています。
また、他にもぺリンガー社やWEINHEIMER社、ヘンローンー社などの一流タンナーとの取引を通じて、最高品質の素材だけを仕入れて使用しています。
長期的な使用において天然素材の品質が耐久性に影響するため、素材選びには妥協がありません。
エルメスの素材には異なる特徴があります。例えば、トリヨンクレマンスは雄の牛革を使用し、張り感があり傷や擦れに強い特徴があります。
ヴォー・クリスペ・トゴは雄の子牛の革を鞣しており、柔らかさがあり細かいシボ感が特徴的です。
ヴォーエプソンは天然皮革に型押しをして比較的に硬めに仕上げたレザーで、軽量で型崩れがし難くなり、カラフルなバッグによく使われます。
フィヨルドは雌の子牛革を加工し、雌特有の柔らかさとマットな印象が落ち着いたイメージです。オイル分を豊富に含んでおり防水性が高いことが特徴です。
エルメスの代表的な素材であるボックスカーフは、生後6カ月までの子牛の革を鞣しており、硬さを維持したまま光沢や質感を残します。
シワ模様が特徴的で、スムースレザーの中でも代表的な素材です。ボックスカーフはエルメス愛好家によく推される定番的な素材の一つとなっています。
エルメス、その歴史とは?
エルメスはバッグの芸術品として称賛される存在であり、1837年に初代ティエリ・エルメスがバス・デュ・ランパール通りに初めての店舗をオープンさせました。
当初は馬具作りの職人だったエルメスは、1867年の万国博覧会で銀メダルを受賞し、名声を得ることになりました。
ティエリ・エルメスはドイツからフランスへと移り住み、ブランドを成長させる過程で評価されるまで腕を磨いた功績は大きなものでした。
その後、二代目のシャルル・エミール・エルメスがパリのフォーブル・サントノーレ24番地に店舗を移転させ、これが現在も本店として残っています。
エルメスは馬具や鞍を主に生産していましたが、1892年に名品オータクロアを発表し、これは馬に乗せる鞍や馬具を収納するラゲッジバッグとして製作されました。
このオータクロアが後のケリーバッグやバーキンバッグの原型となり、エルメスのデザインと機能性、耐久性の原点となったと言えます。
20世紀に入り自動車が普及すると、馬具の需要は減少し、代わりに自動車向けのラゲッジバッグへの需要が増えました。
エルメスもこの変化に応じて、優れたバッグを数々生み出し、女性向けにもエレガントなバッグをデザインして好評を博しました。
サック・ア・クロアやポリードなどの名品が生まれ、伝統と新しいスタイルを組み合わせて、エルメスは現在も世界最高のバッグを作り続けています。
まとめ
エルメスはほぼ200年にわたり、革製品の制作に従事してきたアトリエであり、当初は馬具から始まりましたが、のちにラゲッジバッグへと主軸を移してきました。
サドルステッチという頑丈な縫製技術を駆使し、最高品質の革を贅沢に使用して、最高のバッグを創り上げています。最近ではアパレルや香水にも進出しており、バッグに引けを取らない高い評価を得ています。