エルメスは、フランスを拠点とするファッションブランドです。
1837年にはじまった馬具工房としての歴史を持ち、エルメスはナポレオン3世やロシア皇帝などの名だたる人々に愛され、その名声を高めてきました。
1892年には馬具の技術を応用した初めてのバッグを紹介し、1927年には腕時計を発表し、さらには衣服、アクセサリー、香水の製造販売も手がけるようになりました。
エルメスのバーキンを持つことはステータスになる
1984年、エルメスの5代目社長は、イギリスの歌手ジェーン・バーキンのために特別にデザインされたバッグ、「バーキン」を生み出しました。
彼らは飛行機で偶然隣り合わせになり、ジェーンがぼろぼろのカゴに無造作に荷物を詰め込んでいるのを目にしました。
社長は彼女のために使い勝手の良い鞄を作りたいと考え、その結果がバーキンとなります。
新しい母親となったばかりのジェーンは、自分と幼児の必需品を収納できるバッグが欲しいと望んでいました。
それに応えるため、鞄は十分な容量を持ち、哺乳瓶を収められるスペースを提供しました。
内部にはジッパー付きポケットや区切り、さらには幼児を抱きながら自由に鞄を持てる長い持ち手も設けられました。
バッグを床に置いても立てることができるスタッズも加えられ、ジェーンのカゴの形をアイデアの元に採用しました。
このように、働く母親向けに開発されたエルメスバーキンは、利便性と耐久性に遊び心が加わり、エルメスのアイコン的存在であり、ケリーバッグと肩を並べるステータスアイテムとなりました。
このバッグを手に入れるための待ちリストが存在するほど、手に入れることが難しく、所有すること自体がステータスを象徴するものとなりました。
時を経て、皮革の技術進化により、カラーバリエーションも増え、さらに人気を集めるアイテムとなっています。
エルメスのバーキンにはグレードが存在する?
エルメスバーキンは1984年のリリース以来、外観のデザインに変更は一切ありません。
そのため、外見によるグレードの違いは存在せず、年代が古いアンティークほど価値の高いエルメスバーキンとされています。
サイズは25センチ×21センチ×13センチのコンパクトなバッグから始まり、30センチ×22センチ×16センチのオンオフ兼用の汎用性の高いサイズが多く作られています。
これらは比較的手軽に入手可能なエルメスバーキンとされます。
一方で、ビジネスカジュアル向けの35センチ×27センチ×18センチのサイズも需要が高く、手頃な価格で手に入れることができます。
さらに、40センチ×29センチ×21センチのタイプは革の使用面積が広く、希少性が高いため、新古品を問わず市場に出回る数が非常に少なく、高いグレードを持つエルメスバーキンとされます。
素材に関しては、普段使いに適したトゴやトリヨン、エプソンなどの型押し素材は比較的手ごろな価格で手に入りますが、スイフトやボックスカーフなどの型押しされていないスムースレザーはグレードの高いものとされます。
特にエルメスの象徴であるボックスカーフは、最高グレードの素材といえ、多くのエルメス愛好家から高額で取引されています。
カラーにおいては、エルメスのカジュアルなカラーである「ブルージーン」が特に人気を博しています。
まだまだ価値が上がり続けるエルメスのバーキン
エルメスバーキンは、毎年アンティークのように価値が上昇しており、物価の変動に影響されずに高騰する商品とも言えます。
エルメスの歴史的な職人技術を尊重し、現代の大量生産の流れに流されることなく、熟練の職人が限られた数の鞄を手作りしています。
そのため、供給よりも需要が常に高く、既に予約だけで完売するほどであり、正規の店舗でも手に入る機会は稀です。
この需要と供給のバランスの結果、価格は毎年高騰し、価値も上昇しています。
中古品の買取店では、アンティークのような高額で買い取られることもあり、20年前に購入した傷のあるエルメスバーキンが購入価格の5倍で買い取られるなど、驚くべき価値を持つことがあります。
日本では特に多く出回っているとされるビジネスバッグ型のオーストリッチ素材は、多様な服装に合わせやすい特性から、レギュラーエルメスとも呼ばれていますが、それでも200万円を超える価値があります。
希少性を考えると、アリゲーターやクロコダイルなどの動物系素材、特にワニ革や牛革ボックスカーフは、ワシントン条約による動物保護の観点から、将来的にエルメスがその生産を終了させる可能性が指摘されています。
これらの素材から作られたエルメスバーキンは、ますます価値が高まる見通しです。
エルメスのバーキンは高い資産価値を持つ
エルメスバーキンは需要が非常に高いため、1人につき年に2つまでしか購入できない制限があります。
この制限は、誰でも自由に手に入れられるものではなく、むしろ欲望をかきたてるアイテムとなっています。
そのため、エルメスの熱心なファンたちは、専門店で継続的な関係を築くよりも、中古品の買取店やオンラインの売買サイトを通じて入手を試みることもあります。
特にアンティーク品は、このような手法で容易に手に入れることができるため、投資目的でエルメスバーキンを手に入れる人々が増加しています。
絵画や彫刻などを投資対象として購入し、将来的な価値の上昇を期待する人々がいるように、エルメスバーキンもアンティーク価値を見込んで購入し、資産として楽しむ人々が存在します。
長期間保有すればするほど価値が上昇するため、不動産や株式と同様に、資産を拡大する有効な投資手段とも言えるでしょう。
中古品の買取店では、わずかな傷があっても高価で買い取られることもあり、バッグを楽しむ一方で、新たなアイテムを求める際には買い取ってもらうことで、資産価値を有効活用することができます。
エルメスバーキンの投資性は、箱や袋といったアクセサリも含めて大切に保管されることで、将来的な価値向上に貢献する要因ともなっています。
まとめ
馬具工房から出発したブランドだけあって、どのアイテムも職人気質で作られており、スカーフの柄にデジタル技術も活用しつつ、手刷りへのこだわりも持ち続ける丹念な製法が、エルメスというブランドの魅力です。
特にケリーバッグやバーキンは今でも職人がひとつひとつ手作りするため、どの鞄もこの世で唯一無二の鞄であり、少量生産のため、いくらお金を積んでも購入することができないこともあります。
そのプレミア感もまた、エルメスが多くの人に愛される理由ひとつです。